“Secret Affinities” projectはAlessandro Niccolaiの極めてパーソナルなビジョンの世界を表しています。
イメージの外側にある美しさです。。
思いの外にある鋭利なフォトグラフィです。。
私にとってはすごく「私的」な「宝物」のような作品です。。
“Secret Affinities”には険しいコアがありますが、美しく、各断片は心を奪う発見です。
Y.Kawamoto
Y. Kawamoto ずいぶんとプロジェクトの実現が長かったようですが、その原因は?
A.Niccolai 単純にいろいろなプロジェクトに参加していて、同時進行だったから。それにそのプロジェクトは、私の人生の重要な部分です。それらの写真は、私の日記のページだった。自分自身をオープンにし、たくさんの人に見せました。それは時間がかかり大変な作業でした。
Y.K. 日本の文化に興味がありますか。
A.N. 子供の時に始めて日本の文学に触れた。私は美を愛する人間です。いわゆる"わび"や"さび"の世界を愛する…日本の美意識を表わすもののひとつに、日本庭園があると思う。静かで落ち着いた雰囲気があり、見ている人の心を落ち着かせてくれる。能を愛する。主人公のほとんどが幽霊ですが、怖さよりは人間の本質や情念を描いています。一見無表情な能面には、いくつもの表情が隠されていて、かえって見るものをひきつけてしまいます。
Y.K. 精神生活に乗り出すにあたって、日本の個人的、政治的、精神的価値の混在を遮断することは、困難でなかったのだろうか?
A.N. 僕は日本に居る時、不思議なくらいたくさん美しいものをナチュラルに感じた。それに日本には楽観主義もあると思う! ある視点からは住みやすい…for a gaikokujin.
Y.K. それでもまだ違和感があるのだろうか?
A.N. 僕は何かに所属するということが出来ない人間。何かに属しなければならないと思った瞬間、あるいは何かに属していると思った瞬間、とても居心地が悪くなる。それに反抗するようになってしまう。
Y.K. 何故それほどそれぞれの感情はあなたの関心を引くのだろう?
A.N. 大きなパワーが出る時がある. 支配されて自分の気持ちを全部理解できる時。僕にとってフォトグラフィはとても重要だ。
彼は説明する。
時にアートは、そういう(精神の)ステージに到達することが出来る。たしかにそうだ。しかし、その関連性を維持するためには訓練が必要で、僕が常に自分の作品について感じてきたことなんだ。
Y.K. あなたの作品にはカオスのない闇の感覚だけが表れる。その闇の感覚は、現代社会の創造性の枯渇を象徴しているのですか?
A.N. とんでもない。僕は常にポジティヴなイメージで作品を作っている。解放のイメージ。その行程には、たくさんの小死がある。そこを通る過程には、常に痛みが伴う。しかし、生き続け、存在の強度という彼岸に達すれば、大いなる報いを得ることができる。もし何らかの困難な問題を抱いていて、それに対決し続ければ、ますます困難なものになってゆく。. 私は人間には精神的な生活が必要だと思う。
Y.K. 芸術とは何でしょう?
A.N. ..mm..日本語で説明するのは難しい。"Arte"(芸術)は世界の中の個人的なビジョンです。そのビジョンで日々の生活に対する反省の機会を得ることにもなる。。。自発的にものを考えるのを教える。芸術は感じるもの。
Y.K. 写真は芸術?
A.N. そう、間違いなく。
Y.K. 。。。どこまで芸術?
A.N. 写真は対象の選択、対象と撮影者との物理的距離、対象の様態、撮影するタイミングなどによって、撮影者の心や世界に対する態度を反映する。写真は少なくともこの意味で確かに撮影者の創作物であり、表現の手段。しかし、だからといって「すべての写真が絵画や彫刻のような芸術である」ということではなく、記録伝達手段としての価値が他の表現手段よりもある。それは「法律や取扱説明書が文芸・文学ではない」ということと同じである。
Y.K. この言葉は曖昧なので、対話を続けるには意味を収束させる必要があろう。
A.N. 「わかるよ」
Niccolaiはくすくす笑う。
A.N. あいまいに聞こえるんだろう?作品はそんな風に捉えられないことを祈るよ。それはむしろ、人生に焦点を合わせるための哲学的探求、あるいは訓練。
Y.K. 最後にこれだけは訊かなければ。Secretとは何を指しているのですか?
彼は笑っていう。
A.N. 見る人が自分で決めていい。
Y.K. 見る人の夢か。。。
2013年6月 By Y. Kawamoto